ゆたり倶楽部

[カフェ・レストラン] 記事数：210

◎カフェ・レストラン

バリアフリー鉄道農園「風だより」
[栃木県塩谷町]

優しさと楽しさを補完できる
十人十色の寛ぎに向き合った、貴重な空間

　山の中を走り続け、景色を楽しみながら“バリアフリー鉄道農園「風だより」”を目指しました。

　「こんなところがあったなんて…」と、到着早々、楽しそうな空気に大人でも気持ちが弾み出しました。大きなログハウスが見守るようにして、ミニ列車のレールや車輛、広い庭園があり、子どもが楽しそうに大きなシャボン玉を作っている風景が幻想的。そして、店主の水野雅章さんが笑顔で迎えてくれて、日頃の疲れを抱えた心身が、すぐに解れ始めました。
　1階のトイレは車椅子の方でも安心して使える仕様になっていて、乳幼児のおむつを替えるためのベッドも装備されています。2階には居間のような席もあり、見渡すほど、屋内外共に、十人十色の寛ぎに向き合ってくれているのが伝わってきました。
　淡い朱が映える「蟹トマトクリームソースのフェットチーネ」で引き立てている緑は、パスタに練り込まれた国産ほうれん草。味わい深く、しっかりしているのに、さっぱりとした後味。
　口に入れるととろけ、そして深みのある絶妙さが堪能できる「特製チーズケーキ」にも出会えました。他にも良質な卵を使ったオムライスや、3種類のデザートが楽しめる「パレットケーキ」もおすすめ。佇まいや素材選び、そして味と、丁寧に、楽しく彩られた時間も添えられているようで、心が満たされていくのを実感しました。
　水野さんは大企業の元企業戦士。管理職に就いた頃、突然の病に伏したことと、予てより、奥様から企業戦士でいることが合っていないと言われていたこともあって、人生の転機を向かえることに。第一線で活躍、喧噪の中で生きていた水野さんだからこそ生み出せたとおもえる貴重な空間。佇まいや味わい、そして車椅子の方でも楽しめるミニ列車と、ひとつひとつが優しいのは、必死に生きている私たちにエールを贈ってくれている気持ちが込められているように感じられました。