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[雨は遠いそらの上] 記事数:109

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水府の秘瀑

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たまには駄文を控え目にして、浮世離れした秘瀑のめくるめく細部と内的拡大の世界(すでに駄文のほうに脱線)をじっくりとご紹介したいと思います。薄葉沢滝群訪問と同時に水府地区に多く存在する滝の中のひとつです。

 

   
国道349号が南北に抜ける里美地区は、黒磯バッケや御岩山、竪破山など急峻な断崖を見られる場所がいくつかあるものの、全体としてはなだらかな里山の風景が広がる。
しかし水府地区は東西の山々の傾斜が厳しく、狭い谷を通っていくことになる。ゆえに紅葉もひときわ美しく、いちいち息を呑みながら車を走らせるのだ。
 

  
今日ご紹介する滝を見つけたときには、興奮で足がすくんだ。ここは一体どこだ!「イバラキ」という言葉の空虚さを噛み締めながら、落葉したモミジの絨毯の上をおそるおそる歩く。


 
昼12時近くなっていたが滝の周囲は薄暗く、でも初冬の冷たい光が差し込んでいる。滝がきらめいて、ぼくは思わず「なんて美人な滝なんだ…!」とため息をついた。
 

この滝は縦に細長い、いかにも美滝の容姿をしているので縦の構図が多くなってしまうのだが、大まかに見て3段に分かれている。上と右の2枚の写真が中段で、



上段はナメ滝になっている。この細長い滝身を見てください!美しすぎる。月並みだけど京都の庭園のような精巧さを感じる。
 
そして下段は何と車道のすぐ脇に落ち、下から車道の東を流れる山田川へと流れ込んでいるのだ。
←わかりづらいけれど、写真上部の白く飛んでいるところが車道なんですね。実はここまで来るのに歩いて1分もかからない。写真右の細いのは取水パイプが山から下りてきている。
小道がずっと山奥まで続いているので、もしかしたらもっと滝があるかもしれないしこの滝もこれだけ車道に近ければ「秘瀑」というほどではない。
 
でもぼくが訪れた時期のこの滝は、間違いなく秘瀑といって差し支えないだけの情緒と艶やかさを有していた。紅葉がすべて散って、水に流れ土に還る前の静かな空間。秋の盛りに来たらどんなだっただろう。興奮しすぎて失禁しちゃうかもしれない。

 
ぼくは山の麓の滝のもとでひとり、車道を通る車も稀。太陽の光は穏やかにあたりを照らし、心ゆくまで滝を楽しんだ。
  
  

ヒント。車道からは滝の下段しか見えませんが、その上のあたりに観音様らしき石像が立っています。(↑わかりますか?)ガードレールがあって結構見過ごしやすそうだけど、県道33号線をゆっくり北上していってみてください。下段の滝も味わいがあるんだよなあ~。
 
 
後日あらためて訪れてフィルムで撮ったのだけど、光がうまい具合に差してくれなかった。写真は一瞬の勝負、さらに偶然との出会いなんだなーとつくづく思う。でもうまく行けば、そのときこそ自然との邂逅となる。人生は長いんだ、この先もいつかどこかで巡り合うことができよう。
 
そう思いつつも、見逃した景色の数々を思うと臍を噛むようだ。せっかく休みが多かったのに、寒くてどこにも行けてない。
 
 
テレビのチャンネルを回していたら偶然、竹内敏信先生の番組がやっていて、車椅子ながら一心不乱にファインダーを覗いてらっしゃった。先生の足もとどころか背中まで45分以上かかるくらいの小僧だが、同じくファインダーを見つめる者の端くれとしてそのお気持ちが痛いほどわかって、キヤノンの宣伝的な番組だということを差し引いても、感極まらずを得ないものがあった(竹内氏が使っていたのは何だったのかな?5Dでは無さそうだったけど)。
竹内氏の写真は、ただ上手いだけじゃない、いや、ただ美しいだけなのかもしれない。でもそこには気安く触ると切れてしまいそうな鋭さ、凄みが乗り移っているように感じる。目で見るだけの「写真」ではない、竹内先生の魂、人生、そのものがこもっているのだ、そしてそれを我々見る側が受容しているのだなあ、としみじみ思う。
そのような、魂のやりとりに至るまで精神を研ぎ澄まして対峙せざるを得ないような、そんな写真を撮りたいな、と思った(そんな、素人に毛が生えたような奴がそうそう口に出せるもんではない。でも幸いにして現代のブログ文化である。何を言ってもワッショイショイである)。
今のぼくは、ただ綺麗に撮ろうとしているだけだ。それはぼく自身の生き方そのものに由来しているのかもしれない。表面的に取り繕っていては、本当の表現というのは生まれてこないだろう。
  
 

  
  
  
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↑あれれ、また結局いつもの駄文になってしまった…。capsuleを聴いているので何かこう焚きつけられちゃうんですよね…。
あと、ザ・タイマーズの歌う「デイドリーム・ビリーヴァー」がとても良いんですよね~。お気に入りリンク集の一番上に登録してあるので良かったら見てみてください。1,2曲目は今のテレビでは絶対に流せません!笑。それがまたかっこよくて、素晴らしくって、涙が出ちゃう。
 
気分はハイ 言葉はきっとグライダー
  

» Tags:, 茨城北部,

Trackback(0) Comments(4) by 雨|2009-01-12 02:02

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