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[雨は遠いそらの上] 記事数:109

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くだらない夢を見た。夢を見ると夢は面白いので夢を書き記すということを少しやっていたことがある。

教室にいて、同級生の男子がある女子に向かって、女の子なら言われたくないであろうある言葉を言った。女の子は醜悪な微笑みをたたえながら静かに男子に歩み寄り、男子の片手の人差し指と小指を合わせて細長い針を打とうとしていた(既に男子の指には小さい穴があいていたような気もする)。
男子は驚きおびえていたが、ぼくも同じようにおびえ、「やめろよ!そんなことするのはやめてくれよ!」と絶叫した。確かに、悪口を言われた女の子の気持ちを考えると、それくらいのことをするのは当然なのかもしれない。けれど女の子の「実際に」しようとしていることは非道だと思った。それでぼくは泣き叫びながら教室を飛び出して、家に帰った。先生に見つかりたくなかったので忍び足だったけど、学校の向かいの丘の中腹で見つかってしまい、教室の窓から先生や他の生徒に呼び止められてしまった。ぼくは両手で「バツ」をつくって足早に去った。
後で先生からメールが届いて、「そうやって逃げるのはずるい。先生はがっかりしているけれど、篭っているあなたを無理に戻すつもりはないので好きにすれば」という趣旨の内容が書いてあった。ぼくは案の定大変ショックを受けたのだが、(何故か)「金のために逃げたわけではない」、と思った。
逃げた先にはぼくがかねてより行ってみたかった近所の一角で、そこは丘の上の茶畑の道を行き林の中にある三、四軒の民家なのだった。3人のすなおでかわいい男の子達が出迎えてくれ、男の子達に囲まれて行くと、母親らしき人が現れて家に招いてくれた。男の子達みんなの母親かと思ったら、そのうちの一人だけで後の二人は近所の子だった。家は平屋の懐かしい感じで、ぼくはその家やまわりの雰囲気がジブリみたいだと思った。竹林のような薄暗さで、土は踏み固められ、風通しはよく、親密な空間だった。木々の間から風景が見え、ここは高台になっているのだな、とわかった。母親の女性に、近所なのだけどずっと来てみたかったので来られて良かった、と言った。女性はまたいらっしゃい、と快活そうに言ったが、もう来て欲しくないというのがわかった。でもそれは別段悲しくはなかった。もうぼくがここには来ないというのがわかっている口ぶりだったから。

ひどく疲れているといくつもの夢を見る。トラックの荷台に乗って村まで逃げる途中で運転手がもの凄く粗い運転をして、自らを犠牲にしてまで殺そうとするので死にかけた。大量に死体やその断片が散らばっているポイントをやり過ごしてひどい道を走っていった。
男はそこにいれば確実に殺されるのに、なぜかそこにいれば有利だと思っていて、やっぱり一番最初に殺された。瞬間的に殺された。道は相変わらずの悪路で、道の先は光が差している。
 
先生は、高校時代実際に教わった先生で、大変お世話になり期待もかけてくれたのだけど、お世話になりっぱなしで期待もすべて裏切ってしまった。
ぼくは女の先生と相性が良い。皆期待をかけてくれて、ぼくはそれを最後にぜんぶ裏切る。男の先生とは相性が悪い。先生たちはぼくのことは忘れているだろう。
いまだに高校時代の夢を見る。大抵は卒業式の日とか前日とかで、さあ卒業だ、というときにぼくは途方に暮れている。ぼくは途方に暮れている。
高校の終りに犬猫狸とか言っていた。あれがいけなかったのだとちょっとだけ思う。ぼくはすべてを裏切ってきた。もう戻れない日々、というありふれた言葉で表現されるものがこんなかたちで自分の中に残るとは思ってもみなかった。他人と何かを共感できるとしたら、おそらく共感の欠落のみによって、なのだと思う。
 
夢のなかで先生は、いつもぼくのことを叱っている。それもきつく叱っている。実際の先生には叱られたことは殆どなかったのに。少なくとも、夢のなかのように叱られたことは無い。
貴方はいったい何をしているの、と先生は厳しく詰問する。慈悲もなく、完全にぼくに失望しきった口調で。それで、夢から覚めて、ああ、また先生に怒られてしまったな、と思う。先生、ごめんなさい、先生を裏切ってしまったけれどぼくは先生に何ひとつ言うことができない、と思う。沈み込んで、重油のようになってしまいたいと思う。
それで、昨日もまた叱られてしまった。
  

by 雨|2009-01-20 01:01

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