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[雨は遠いそらの上] 記事数:109

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御岩山と御岩神社

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どこか良い山は無いかな、と茨城の山のリストなんかを眺めていると、いくつか懐かしい名前に目がとまる。去年の晩夏に行った「御岩山」もそのひとつだ。

 
そのころぼくは神社巡りにはまっていて、時間を見つけてはそれこそ取り憑かれたように、大小さまざまな神社を参拝して回っていた。
山域の多い県北では、西金砂神社や東金砂神社、武生神社など神仏混淆、とくに修験道と密接にかかわり合いながら発展してきた神社が多く、御岩神社もそのひとつである。江戸時代には「御岩山大権現」と呼ばれて水戸藩の祈願所として栄えた。古き多くの遺構と、山あいに佇む境内の凛とした空気が当時の名残をいまだに感じさせるのである。
 
三本杉を眺め、仁王門をくぐり、たくさんの歴史的な遺構を見ながら少しずつ奥に上っていく。御岩神社拝殿はきりっとして、実にかっこいい神社である。ちょっと静神社に似てるような気もする。脇のもみじが鮮やかな青さで神社を彩っていて、しばらく見入ってしまった。
 
拝殿の左手の奥からさらに上、すなわち御岩山へと通ずる道がある。ちりんちりん、と音がするので何となく見守っていると、坂道をハイカーのおじさんが下りてきた。そのときには「ふうん、こんなに山登りの格好するほど大変なのかな?」と思ったくらいだったが、今なら当然の装備だな、と思うかもしれない。なかなか急坂があったりしてハードな道のりだったのだ。それに、御岩山から高鈴山方面へと向かうハイキングコースも整備されているのだ。そっちのほうから来た人だったのかもしれない。
この細い山道を登っていくと賀び(田に比)禮(かびれい、とよむ)神社があり、つまりこの一帯はそうとう昔(風土記にも記述があるのだ)から信仰の場だったのである。
  
さらに上を目指すと、急峻の岩場が出現し、よじのぼるような格好で登っていく。我ながらよく登ったもんだ。
 
その頃は山登りなんて考えてもいなかったから、鬱蒼とした山の中に入ってしまい結構びびっていた。人もいないし結構急な坂もあるし時折強い風が吹いたりして心細くもなった。何となく登っていったら着いてしまった山頂にも特に感慨はなく、まあここがここらへんで一番高いのか…くらいにしか思わなかった。
向陽台という場所があるみたいなのでそっちへ行こうと思ったのだけど、急な下り坂が下のほうまで続いているのでさすがにやめて引き返してしまった。脚はへとへとだし、喉がひどく渇いてしまったのだ。
でも随分歩いたな、と思って時間をみてもそれほど時間が経っていないことには驚きがあった。最近山登りをはじめてよく思うのだが、普段は何をするでもなくても矢のように過ぎてしまう時間が、山の中にいるとゆったりと流れていくのだ。あれ、まだ30分なの?といった具合に。
 
仕事に追われあっという間に一日が終ってしまい鬱々とした日々を送っている諸兄方には、週末に近くの手ごろな山でいいから入ってみてもらいたい。木々の枝が血管のように張り巡らされ、光を求めてそよぐ葉や、そこから漏れてくる光のあたたかさ、風に揺られる影、それらを見て、感じてもらいたい。
時間というのは秒刻みでコチコチと動いているのではなく、自然のあいだをゆったりと過ぎていくものなのだ。少しでもそのことを思い出していただけたら、未熟ながらこうしてご紹介しているぼくとしても嬉しい。
 
それにしても、こんなところで知らず山登りの練習をしていたのだなあ。とても良いところなので、新緑が綺麗な時期にまた行けたら良いな。また、御岩神社前に連なる入四軒門前町の様子も、ゆっくり歩いて見てみたいなと思っている。
入四軒(いりしけん)なんて、ちょっと声に出してみてくださいよ。何だか素敵ですよね。何があるのかちょっと知りたくなりません?ここには不思議な木が道の真ん中に立っていたりですね…。
それは後々のお楽しみとしましょうか。
 
  
*御岩神社…祭神・大国主命をはじめ、多くの境内社を祀る常陸国最古の式内社(だと思う)。平成3年に再建された仁王門、樹齢500年を越え天狗が住んでいたとされる三本杉、木造大日如来坐像をはじめとする神仏混淆の名残など見どころが多い。御朱印をいただきに社務所に行ったら、美人の奥様?が応対してくれてちょっとどきまぎした。
  
*賀び(田に比)禮神社…「賀(田比)礼」とも。祭神立速日男命。常陸国風土記に記載があるくらいだから、1300年もの歴史がある(常陸国最古の式内社というのも、この神社を含めての意か?)。御岩山の中腹に座し、静寂に包まれている。


 
*御岩山…標高492m。山頂付近には巨大な奇岩があって、ロッククライミングの練習場所にもなっているらしい。それに沿うように直登するとまもなく山頂。木に囲まれあまり展望は無いけど、近くの岩場がひらけていてそこからの眺望は良い。御嶽神社という小さな祠もあるので、探してみてね。
  


   
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» Tags:山行き, 神社,

Trackback(0) Comments(4) by 雨|2008-03-16 19:07

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