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[雨は遠いそらの上] 記事数:109

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連続踏破・熊の山編

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今日は熊の山と盛金富士の連続踏破に挑戦してみる。連続踏破、といってもどちらもほんとに低山だから何てことはないけれど、ぼくにとっては結構冒険。盛金富士は何かとよく名前を聞くのだけど、熊の山ははじめて聞く。この二つの山は気軽にハイキングできる山としてセットで有名のようだ。
国道118号線を北上し、常陸大宮市(旧山方)の平山橋の河川敷に車を停め、8時40分に歩き出…そうと右足を一歩踏み出した途端、足首前部がピキーンと痛み出す。あれれっ、これから山に登るってのにまったく何だよ…と意気を削がれつつ、熊の山登山口に至る急な坂をのぼっていく。

田園風景の広がる道を上っていくと、登山口の標示が。ここまで来るのに早くも息が弾んでいる。民家の脇を抜けいよいよ山へ入る。しばらくはなだらかな登りで、左手に祠を見つけたあたりから急になっていく。快晴で太陽はあたたかいが、強くて冷たい風が山の斜面を駆け上がってきて、びゅおおおと木々のあいだを抜けていく。だんだんと山は深みを増してきて、アップダウンも多くなる。
9時15分に休憩のベンチに至る。ここからだと盛金富士のほうがもっともよく開けていて、眺めが良い。ふたたび山の中へ入って、アップダウンを繰返す。なかなかきつい。足も相変わらず痛いのだけど、この間の仏頂山よりは体力・精神面において充実している。7割くらいの出力を心がけ、軽快に進む。
やがて分岐に出る。左へ下小川キャンプ場、右へ熊の山山頂へ。もちろん右に行く。帰りはこの分岐を直進し、下小川へと抜けていくのだ。
尾根を右に巻き、なだらかな道を行く。小ぶりな石が道の脇に転がっている。まるで意志を持っているみたいに(石だけに?)。標示がある分岐を左に登れば、山頂の熊野神社への鳥居が姿をあらわす(熊の山の名前の由来は、「熊野神社」から来ているようだ)。さあ山頂まであと一息だ。しかし鳥居をくぐると目の前にそびえる急な階段。ぜんぶで210段以上あるとか無いとかいう石段をひいひい言いながら登りつめる。
  
9時35分に山頂に到着。広場になっていて小さな社がある。「熊野山」と穿たれた標石が、山頂部から出張った岩頭のすそに建てられている。
360°展望のじつに素晴らしい眺めだ。北西に八溝山をこえて雪をかぶった那須連山、北東には奇異な姿の男体山、東には海らしき輝きが見える。南西に筑波山系、南にはぽつんと茨城県庁も見える。空は青く、太陽はあたたかい。
岩場に寝転がっていつまでもこうして眺めていたいが、エレウテリア許せ。あ、いや、強い風が吹きつけてくるので結構寒く、9時55分に下山を開始。
  
鳥居をくぐり今度は道なりにまっすぐ行くと、大きな岩が三つくらい山の上に隆起していて、社や像によってまつられている。このあたりの山に多い奇岩だ。結構ぼくも見慣れてきたけど、やっぱり不思議なもので、自然への根源的な畏怖を感じずにいられない。下までまっすぐ伸びた階段(かなり昔のものらしくでこぼこしている)をおそるおそる下り、左に伸びている道でなく右へ行く。踏み跡が少し心許ないが、さっきの鳥居の下に出られるはずだ。落ち葉に足を取られ何度か滑り落ちそうになるものの、何とか戻ってこられた。
下小川へ抜ける分岐まで戻り、今度はひたすら下りになる。北側の斜面で杉林が高く茂っているので暗く、単調でつまらない。下りでどっと疲れが出るもので、右足の痛みも前景化してきたが10時25分過ぎに下山完了。おじいさんが竹やぶで作業をし、おばあさんが散歩をしている。ふもとののどかな風景が広がった。目の前にR118が走っているが出ないでT字路を右に下りていく。
  
国道の下には久慈川が流れていて、その浅くゆるやかな流れはいつ見ても美しい。下小川橋で足をとめてしばらく景色を眺めていると、さっきのおばあさんがやって来た。声をかけてみると、どうやら郵便局まで行くそうだ。ここまで下りてくるのは結構大変だったし、ぼくが下りてきてからそんなに時間も経っていなかったのでちょっとびっくりしてしまった。元気だなあ。ぼくが熊の山から下りてきたところを見ていたらしく、山の話などして橋を渡った。渡りきったところからぼくは国神神社を見に行くのでおばあさんと別れた。決して軽くはないが、しっかりとした足取りで下小川駅のほうへ歩いていった。
 
フジノン工場の脇にある、朱色に染められた立派な両部鳥居のある国神神社を参拝した後、下小川駅のほうへ歩いていくと、向こうからさっきのおばあさんが歩いてくる。変な顔されるかしら、と一瞬思ったが、おばあさんは気さくに声をかけてくれた。
「春になったらまた登りに来な。」と言われ、嬉しくなる。振り返ると、やっぱり軽くはないけれどしっかりした足取りで、帰っていくおばあさんの姿。こういうふうに、ゆっくりと田舎の時間は過ぎる。春になってあたたかくなったら、またゆっくり登りに来よう、と思った。
   
ダンプの往来が多い道路を歩き、無人の下小川駅に到着する。ロータリーで少し休み、盛金富士に行くかこのまま帰るか逡巡する。駅前の大きい登山コース図と盛金富士の山頂部とを交互に眺めながら、折角来たのだから登ろう、と決める。郵便局で仕入れてきたおばあさんの情報では、まだ上のほうは雪がだいぶ残っているということだが、まあ何とかなるだろう。足は痛いが身体はまだ元気だ。11時を過ぎた頃で、風は冷たいけれど空は明るく太陽があたたかい。まだ帰るにはもったいない。ようし、連続踏破だ。
来た道を少し戻り、「盛金富士ハイキングコース」と書かれた看板の道を登っていく。

(盛金富士編につづく)
 
 
*熊の山…標高310.6m。山頂に熊野神社がある通り、自然信仰の山として昔から参拝登山されていたらしい。今では地域の高齢化も進みなかなか登る人もいなくなったみたいだけど、かわりにハイカー達には美しい景観の望める絶好の山だろう。
   
*国神神社…創建1492(明応元)年。祭神は国常立命。盛金地区の鎮守として尊崇されている。
  
  
   
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» Tags:山行き,

Trackback(0) Comments(2) by 雨|2008-02-19 01:01

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