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「本気で遊ぶ まちの部活」はゆたり出版の「ゆたり文庫 地方に暮らす。シリーズ03 本気で遊ぶ まちの部活」に再編集し収録されています。書籍はネット通販、書店、販売協力店でお買い求めできます。詳しくは本とゆたりをご覧ください。


[地方に暮らす。[前橋○○部]] 記事数:10

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第七話|全国55ヵ所に広がるご当地〇〇部

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 話題性のある活動をマスメディアは放っておきません。前橋〇〇部は新聞やテレビ、雑誌などでさかんに取り上げられるようになります。発足から1年を経た2013年には、前橋〇〇部の知名度は前橋市内、群馬県内に留まらず、全国に広がり、各地にご当地〇〇部が生まれるという社会現象を引き起こしたのです。




新聞やテレビで大きな反響、前橋〇〇部全国区へ


上毛新聞の一面トップに登場した前橋〇〇部

「普通の人」つながる―
 2013年5月12日、群馬県の地元紙『上毛新聞』の一面トップに、大きな見出しが躍りました。空洞化が叫ばれる前橋中心市街地の新しい動きを取り上げた連載記事「えにし再生-第2部」がスタートし、その1回目として前橋〇〇部の成り立ちからbushitsu誕生までが大々的に紹介されたのです。記事ではFBを使って「普通の人」が屈託なくつながり、若者たちが中心街を謳歌している姿が浮き彫りになっています。
 「全10回の連載のうち、7回はなんらかのカタチで前橋〇〇部が登場している。前橋〇〇部が中心市街地に与えた影響力の大きさを感じるとともに、記者の方が事細かに取材し発信してくれたことが嬉しかった」と前橋〇〇部部長の藤澤陽さん。新聞の購読層は年配の人が中心です。この連載記事をきっかけに、FB世代でない人の間にも、前橋〇〇部は認知されるようになりました。
 さらに、同年8月19日にはフジテレビの情報バラエティ番組「ノンストップ」で約15分間、前橋〇〇部の特集が組まれました。舞台は中央通りのカフェレストラン「モモヤ」。ここで行われた前橋パフェ部の活動の様子をメインに、前橋の街中の新しい動きや、部長・藤澤さんと前橋市長・山本龍氏へのインタビューなどを詰め込んだ盛りだくさんの内容です。
 「放映直後から、『うちの市でも〇〇部をやりたい』『パフェ部に入りたい』などのコメントが続々とFBページに寄せられた。全国放送の反響はやはり大きい」と藤澤さんは実感します。




「プラットフォームのロゴをつくってください」


それぞれの街の特徴を表したロゴ

 当時、前橋〇〇部のFBページを通じて〇〇部のシステムを知り、新潟、安曇野、別府、旭川の4つの市で既にご当地〇〇部が誕生していました。最初につくったのは新潟市で、藤澤さんが東京でデザイナーの仕事をしていたころからの知人・西村治久さんが中心となって立ち上げました。「(新潟での発足を知ったときは)いよいよきたか!という感じだった」、まるで、その日を予感していたかのように藤澤さんは言います。
 その理由は、デザイナー時代、首都高の事故をコミュニケーションの力で減らそうというソーシャルキャンペーン『東京スマートドライバー』を手掛けた経験から。「キャンペーンの評判は非常に高く、すぐさま東京から日本各地に波及し、ご当地スマートドライバーとして展開していった過程を見てきた。〇〇部のシステムも必ず、前橋から全国に展開していくだろうと、当初から予測していた」と、断言します。
 テレビ放映後は、「自分が住む街でも〇〇部をつくりたい。細かなノウハウを教えてほしい」、藤澤さんの元には日々、そんな相談が寄せられるようになります。なかには「スマホやパソコンは使えないけれどやってみたい」というチャレンジャーも―。
 藤澤さんはそんな人々に対して1つだけ条件を出すといいます。「プラットフォームのロゴをつくってください」。
 前橋〇〇部のロゴは水と緑と詩のまち・前橋を象徴する青と緑が基調です。この色合いを見ただけで、前橋市民はみな「私たちの街だ」と共感できます。文字のスタイルも都会のようにスタイリッシュ過ぎず、素朴過ぎない、前橋という地方の県庁所在地にほどよくマッチしています。そんな具合に、「自分たちの街を一目で表すようなロゴをつくれることが最低条件。FBページも必要ですが、それは次の段階。もしも、ロゴを自分でつくれなければ、どこかからつくれる人間をさがしてきてほしい。そのくらいの実行力と人脈がなければ、この先、〇〇部を動かしていくことは難しい」と藤澤さんは言います。




瞬発力と実行力が勝負


優勝の号外を新聞社よりも早く発行

 実行力といえば、前橋〇〇部にはこんなエピソードがあります。2013年の夏の甲子園大会で、前橋育英高校野球部が優勝し、前橋は大いに沸きました。藤澤さんと前橋〇〇部をともに立ち上げた岡田さん、岡さんの3人は、優勝の瞬間からわずか10分で、前橋〇〇新聞の号外100部を出すという快挙を成し遂げました。街中のスクリーンの前で、歓喜する人々の姿を藤澤さんが写真を撮り、岡田さんが原稿をつくって写真と共にデザインし、岡さんが印刷をするという連携プレーです。100部はあっという間にはけてしまい、さらに追加で印刷するほどの人気でした。
 「上毛新聞よりも先に、上毛新聞よりもかっこいい号外を出してやろうと思った。自分なりの権力に対するアンチテーゼ」と藤澤さんは言いますが、瞬発力、実行力があってこそできたことといえるでしょう。0号も無いのに最初から号外を出したこの新聞は、後に行われた「前橋〇〇特区」の際、45日間毎日発行された新聞の原型となっています。


前橋〇〇新聞号外

 前橋〇〇部から派生したご当地〇〇部は、2016年8月現在、日本各地に55あります。リンゴとワサビの色を表現した安曇野〇〇部、ユズとカボスをイメージした別府〇〇部など、実に個性豊かなロゴの数々。それを見ただけで街の雰囲気が偲ばれ、そこに暮らす人々にまで心は飛びます。普通の人をFBでつなげたい―藤澤さんの思いが全国に波及していったのです。


(文=阿部 奈穂子)

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