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[まいにちが、記念日] 記事数:575

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春一番が吹くまで

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今朝の新聞を見て驚いた。
高校時代夢中になって読んだ作家が僧侶になっていたのだ。
彼のデビュー作「春一番が吹くまで」は私の青春の思い出と言ってもいいかも知れない。

川西蘭さん。このペンネームは「キャンディーズ」のランちゃんに由来しているのだそうだ。

四捨五入して40歳になると、時々出会う若者のほとばしるような元気がちょっぴりうらやましく、そして懐かしくなる。
高校時代。勉強はしなかったけれど、生徒会や演劇部に明け暮れていた日々。
私だって、「元気な女子高生」だった日々もあったのだ。

楽しいことばかりじゃなくて、今から考えたら「くだらない悩み」に真剣に向き合って。
そんな時「大丈夫!どんな選択をしたって、命とられるわけじゃないんだから」という言葉と共に恩師が勧めてくれた一冊です。

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僕、「ケン」は田舎町の高校生。
受験を控えた夏休み。東京の予備校で夏期講習を受けることになり上京した。
ビジネスライクに進む毎日。ある日、ふとしたきっかけで不思議な女の子「ユウコ」と出会う。
ひと夏の出会いと別れ。
ちょっと昔の、青春物語。
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「大人はわかってくれない」とか、言い尽くされた反抗心を、先生はこの本で静かに諭してくれていたんだと、大人になって、思う。
大人じゃなくても、他人のことなんて分からなくて当然なのだ。
そして他人の気持ちを変えることはできない。
ユウコも佐藤も弥生さんも「はぁ???」な人達だけど、それなりに自分を生きてる。
この本に出会って20年近くたつけれど、いつだって新鮮な気持ちで彼らと向き合える。

実はこの本、人に貸したまま返ってこなかったり、引越しの時になくしたりとときどき失踪してしまったのだけど、読みたくなってアマゾンやブックオフでかならず手元に戻す。
多分絶版になってしまったと思う。本屋では見たことがない。
手元に置いておきたいというのは、いつか子供たちが進路に悩んだり「お母さんはなんにも分かってくれない!」と反抗したり、自分の立ち位置に迷った時に本棚の片隅にある、この茶色に焼けた文庫本を手にとって欲しいと思うからだ。
もちろん押し付けたりはしない。本との出会いは押し付けであってはつまらないと思うから。

「春一番が吹くまで」
川西 蘭・著 河出文庫

Trackback(0) Comments(0) by つき|2008-07-06 07:07

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