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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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見えてくるもの

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かんじゅく座水曜チーム。
普段は週1回の稽古が、公演前なので週2回、しかも延長稽古となり
みんな、スケジュールのやりくりに四苦八苦しながらも
がんばっています。

荒立ちもおわって、いまは、細かい立ち稽古。
一人一人が自分の役について、詳細に役つくりをするので
不器用なりにも、みえてくるものがあります。

役つくりの仕方はいろいろですが、
私はみんなに、「役の履歴書」を書いてもらいます。
原稿用紙に5枚以上という条件にもかかわらず
みんな、よく書いてきてくれます。

履歴書は特に、生まれてから、どんな体験をしてきたかを
考えて書いてもらうのですが、
台本から読み取れることもあれば、自分で想像して作る部分も多々あります。
読んでいて感じることは、
私たちの人生というのは、自分の意思、努力、決意、夢、以上に
政治の動きや制度に、ものすごく左右されているのだということです。
そういったものに、行く手を阻まれ、理不尽な環境に投げ込まれながらも、
自分なりの幸福を見出していくしかない、わけです。
例えば、戦中に軍国教育を受けた子供が、
戦後、180度、価値観のひっくりかえってしまった社会に生きるということ、
これって、その時代を生きた人には当たり前かもしれませんが
やはり、なんだかものすごい過酷な、ストレスのかかることだと思うのです。
それでも、前にしか進まない時間を生きるしかないわけで、
理不尽さをなんとかして腑に落としながら、歩むのでしょう。

考えてみれば、私たちは、ほとんどの人が、あまり簡単には移住しません。
理想的な国、土地、環境をめざせばいいのに、
あえて、過酷な環境の生まれ故郷に、いつづけるものです。
これは、無意識のうちにも「完璧なユートピア」など、存在しないことを
さとっているからなのでしょうか・・・・

月曜社の「戦争の教室」という本の中にある
若い女性Yさんのエッセイがあります。
そのなかで、義理のおばあさんが戦争体験を語るのですが、
Yさんは、そのお婆様が、あまり辛そうに話さないことを不思議に思うのです。
すると、お婆様は「みんなに良くしてもらったから幸せだった」と、答えます。
そこを読んで、人間の強さと同時に、それだけ健気に生きる人間を
大量に殺してしまう戦争というものの残酷さを、
強く感じました。

かんじゅく座の公演「ぼくらの未来」は、他愛のない話なのですが
一人一人の役が、同じ板(舞台)の上で、真剣に生きることで
きっと大事なものが見えてくると思っています。
それがチラリとでも見えたとき、役者は美しいのだと思います。

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Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2015-04-01 23:11

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