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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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介助仲間とのかかわりの中で

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「自立生活運動 過去・現在・未来」というイベントに参加しました。
ときどき顔を出している介助者のあつまり「かりん燈関東」が主催する
手作りイベントで、ビデオの上映と、アフタートークがありました。
http://ikiruassist.com/event/7891/

上映されたのは1975年、NETテレビ(たぶん今のテレ朝)の
「月額50万円の要求」というドキュメンタリー番組です。

生まれてまもなく脳性まひを受傷した新田勲さんが
施設を飛び出し、地域で暮らすために介助者を雇うための介護料を
行政に体当たりで要求する様子を取材したもの。
ディレクターが3か月、新田さんの家に張り込んで撮影したというだけあって
強烈なメッセージが詰まっていますが、
同時に、40年近く経った今見ると、
いま当たり前になっている障害者の地域での生活が
壮絶な戦いの上にあることがわかります。

このビデオの上映の後で、新田さんと共に戦った鶴岡和代さんのお話、
そして、新田さんの晩年、介助に8年間はいっていた深田耕一郎さんのお話がありました。

深田さんは、福祉の仕事に見出される魅力を「相互贈与」という言葉で表現していました。
福祉が持つ独特の「重さ」をうちけさず、その重さの中にこそ、
共に生きるための、関係性を成熟させてゆく鍵があるんだ!
・・・・というような話でした。
私が介助の仕事を始めたばかりの時に感じた「give&take」の感覚を
うまく言葉にして表現してくださったので、私の中で、ストンと腑に落ちるものがありました。

この日、会場に集まったのは、主に介助の仕事に携わるヘルパー
または、福祉事業所の経営者たちでした。
ここに集まるということは、日頃の仕事の中で、問題にぶつかり
なんらかの悩みを抱えて、その悩みについて
問題意識をもって、何とかしたいと考えている人たちでしょう。
深田さんの話に、私のように腑に落ちた人間もいれば
「そんなに前向きに考えられない」と思う人もいたかもしれません。
万年人手不足のこの業界で、ヘルパー不足にあえぐ事業所の経営陣なら
「相互贈与」と考えられるような人間ばかりではないと、思うかもしれません。
image

イベントのあと、私は猫のご飯をあげるために
飲み会には参加せずに帰ったのですが
その帰路で、こうして集まることができる場があることに、
感無量な気持ちになっていました。
介助の仕事は、ほとんどが現場への直行直帰。
たとえば私の場合、
働く場所はグループホームと在宅(個人宅)があり、
いま、合計15人くらいの障害者と関わっていますが、
大半は障害者と1対1の現場で
仕事仲間と話をする機会は限られています。
(それでも、労働組合なんぞ作ったので、かなり交流しているほうだとは思いますが・・・)
同僚と話す、悩みを相談する、知恵を共有する、
という機会が皆無のヘルパーも多いことでしょう。

仕事に煮詰まった時は、福祉職の5K7Kといわれる負の部分ばかりが増大し
とてもじゃないけど「相互贈与」だなんて発想に行き着かない。
でも、こうして、他の現場で働く人の話をきいて、
自分が漠然と抱えていた悩みをはっきりさせ、人と共有することで、
もう少し頑張れたりするのです。

正直、どうしたって、福祉の現場は心身ともに厳しいのです。
現場をしらない役人のつくった制度に翻弄され
昼夜逆転し、その見返りは「・・・。」となれば
若者ほど、続ける意欲をそがれます。
やりがいのある仕事のはずなのに・・・・

深田さんは、介助の現場でうまれる面倒な出来事を
「ドラマ」といい、その関係性を「アート」と表現していました。
それをきいて、会場に、笑いが起こりました。
むつかしい話に、眉間にしわを寄せる仲間が
ぱっと、明るい顔になったのが、印象的でした。
小さなイベントでしたが、とても貴重な時間でした。

Trackback(0) Comments(0) by 鯨エマ|2014-06-24 16:04

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