ご利用規約プライバシーポリシー運営会社お問い合わせサイトマップRSS

[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

< 次の記事 | 前の記事 >

働かない人たち

このエントリーをはてなブックマークに追加

8月12・13日になかの芸能小劇場で、おこなった
「戦争ドキュメンタリー映画を観る2日間」は
その演目を決めるのに、非常に時間がかかっていた。
いろいろある作品の中から、私が希望するものは
上映権、上映料金などの都合、
それから同時期に都内で上映する、などの理由で、
悉く断られていた。

そのなかで、可能性があったのは、
高校生のつくった、記録映像なのだが
これは、独立行政法人、平和祈念事業特別基金が
毎年全国の高校生に向けて
戦争体験を語り継ぐための映像作品を募集し、
そのコンクールで優秀賞、最優秀賞をとったものだ。

この企画自体に、私は非常に興味を覚えて
今回の目的にも、とても合っていたので
即電話して、サンプルを貸していただいた。
高校生たちが、「伝えよう」と工夫を凝らして作った作品だけに
とてもわかりやすく、想いのつまった、そして
見るものには、これからどうやってこの世代に伝えてゆけばいいのか、
今後、彼らがどうやって伝えてゆくのかを
考えさせられる、そんな時間をくれるものだった。

この、主催の独立行政法人って、なんなのだろう。
ウィキペディアのよれば、
法人のうち、日本の独立行政法人通則法第2条第1項に規定される「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人」
をいうのだそうな。

さっそく上映したい旨を伝えると、
少し時間はかかったが、無料上映なら、ということで
許可をいただいた。
無料でOKです!
もともと、持ち出し企画なので
沢山の方に観ていただけるなら、
無料上映でもいいと思っていたのだが
しかし、当日手伝ってくださる方や、
朗読に参加してくれた高校生、大学生の
お弁当代ぐらいになればと、
午後からの作品を観る方は
800円いただくことにした。

さて、上映会の1週間前になって
高校生の作品のDVDをお借りすべく
総務庁にいく。
「おまえは何者だ!」的な
恐ろしいガードマンのハードルをこえて、
平和祈念事業特別基金の部屋へ行く。
はいってびっくりしたのは、
この部屋の暗さである。
電球のワット数のことではない。
気の流れとでもいえばいいのか・・・
活気のない、よどんだものが。

担当の方は、DVDを出してきてくださって
「うちも8日にこんなのやりますから」と、
新宿は住友ビルの会場で、
この高校生の作品の上映と、タレント招いてのトークイベントの
チラシをくださった。
ゲストに、坂東英二さんとか、生島ヒロシさんとかいらっしゃるというので
それなりに人も集まるのだろう。
すかさず、
「その会場にチラシをおかせてください」と頼むと
「ダメです」
有料の催しのチラシは置けないという。
「でも、借りている高校生の作品は無料ですけど・・・」
「でも、他の作品は有料ですよね。」
「ええまあ、でも趣旨は同じだし、こういうのは、営利じゃなくて、たくさんの人にみてもらうことを目的としているのだから・・・」
「だめなんです。」
「なぜですか。」
「ひとつ許可すると、うちも、うちも、といって、いろんな所がチラシをもってくる。だからです。」
「目的が同じかどうか、調べればいいじゃないですか。」
「そんなことしていたら、たいへんなんです。」
「それほど、大変じゃないと思いますけど。」

無表情で喋っていた相手の顔色が変わる。
もう、この時点で、お互いにむかついているのだ。
あたしゃあ、横のデスクで居眠りこいている若い女性をつまみ上げて
「こいつにやらせろ!」と言ってやりたかった。
これら、あまたある独立行政法人の職員の平均給与が
730万6000円というのだから
ああ、もったいない。

「ダメという決まりなんです。」
「そいういところがお役所仕事といわれる所以なんですよ!」
「なななんで、キミにそんなこと言われなきゃならないんだ!」
「決まりだからじゃなくて、自分の目で判断して
これが営利目的かどうかくらい、判断できるでしょう。
企画にこめる想いだって、同じはずです。」

図々しいオバハンだとおもわれてもいい。
怒りからは何も生まれないと、よくいわれるが、
この目の前のオッサンや、横で居眠りこいているねえちゃんは、
少しくらい怒らせて、「はっ!」とさせてほうがいいのだ。

「せっかく高校生が創った作品なのに、
もっとたくさんの人に観て欲しいとおもわないんですか。」
というと、
「でも、もうこの企画は、今年でおしまいですから。」
「え?」
「事業仕分けで、予算がなくなりましたから。」

それ以上戦う意欲をうしなった・・・・・

ここを削るのか・・・・
しかし、私には少し裏も想像できる。
予算を多めに多めに申請し、
節約できる所を工夫しなかった、その結末がこれなのだ。
予算がなくなると、事業を削ることしかしない。
少ない予算で、工夫して対応しようなどとは
思わないのだろうか。

この人たちは、いったい、ここで何をしてるんだ。
これで、働いているといえるのだろうか。
時間をつぶし、きめられたことをこなしていて
そんな仕事の仕方で、納得しているのだろうか。
・・・・なんていう次元の話ではないのだろう。
これは、もっともっと、根強い、根深いところに、
変えなければならないものがあるのだから。

上映会当日、某新聞社の方が
2日間足を運んで
丁寧に取材をしてくださった。
「平和への手紙」を朗読をした高校生にも
楽屋でインタビューをしていたようだ。
後日、記事の下書きをメールで送ってくださったときに
来年以降、高校生の作品は、もうつくられないとお伝えした。

この夏、沢山の方、団体も個人も
ほんとうにいろいろな所で
戦争と平和について考える催しがおこなわれている。
しかし、なかなか大きな流れにはならない。
独立行政法人のある意味を今一度、考えましょう、みなさん。

~本日のありがとう~
お土産でいただいたタマゴのような和菓子。
おいしかった。
ご馳走様でした。

Trackback(0) Comments(4) by 鯨エマ|2010-08-21 09:09

[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

< 次の記事 | 前の記事 >

ゆたりブログ



「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)