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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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今日、出会った青年へ。

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劇団銅鑼の視覚障害者用音声ガイド、今日が2日目にして最後。
全部で4人の方が利用してくださった。
終演後、アンケートの代筆をしていたら
芝居を観るのが初めてという視覚障害者の男性はこういった。
「僕は、中途(生まれつきではない障害者)だからわかったけど、
盲学校の子達は、多分わからないだろうなあと思いました。」
終始、俯きっぱなしだった彼は
どんな思いでこの2時間過ごしていたのだろう。
劇場というところにきて、ガイドをつけているとはいえ、
たくさんの人たちと同じ方向を向いてドラマを鑑賞したときに
彼の心を捉えたものは芝居ではなくて、
いま、ここにきていない、仲間たちのことだったのだろう。
芝居なんか、ぜんぜん楽しむことができなかったのだろう。

視覚障害者といっても本当にイロイロな立場の人、
様々な性格の人がいる。
今日のお客さんの中には、劇団で芝居をしているという人までいた。
私の知り合いでも、ほぼ、生まれつき見えないという方が
「私は見える状態を体験していないから、あまり不自由とかんじない。」
と、言っているのを聞いたこともある。
でも、今日来てくれた彼は
自分の立場のつらさを、表にさらけ出して歩いていたように思う。

それでも、彼はどうして今日、芝居を観にこようと思ったのだろう。
ネットで情報を見つけたといっていた。
外に出よう、何かを探そうという、意思が強く働いたのか。
「何かを、探さなければ」かもしれない。

私には計り知れない境遇を
いかにも、私はサポートしているかのような
活動をしているが、
実は、極々一部の方にしか助けになっていない。

今日私が彼に対して思ったことを正直に言えば
芝居なんか、無理して観に来なくてもいい、
周りに気を使いすぎるよりも、
もっと、自分の幸せに貪欲になってもいいんじゃないか
ということだった。
自分が幸せになることで、周りに勇気を与えられることもあるんだから。

by 鯨エマ|2008-03-23 00:12

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