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[雨は遠いそらの上] 記事数:109

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福島の名瀑へ その1

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霧に包まれた景色を通り過ぎながら、国道を走る。美しい霧の朝。いちいち立ち止まって写真を撮りたい。そうでなければ何が旅なんだろう、俺は旅の一番美味しいところを見過ごしているんだぞ、と朝から暗い気持ちを抱えて、それでも足早に通り過ぎる。だが今日は仕方無いのだ。福島の名瀑に会いに行くのだから。

国道4号を横断してすぐの須賀川ICから東北自動車道に乗り、一気に北上。磐梯熱海ICで降りる頃には、素晴らしい山並みが朝日に照らされていた。
さらに山間の道を北上する。いちいち美しい風景が目の前に広がる。やがて木立に囲まれた旧母成グリーンラインに入り(その名のとおり新緑が美しい)、上りのカーブで高度を稼いでいく。
母成峠では何と、桜がまだ咲いていた。



峠を越えると、安達太良山脈の稜線を眺めながら牧草地のあいだを下っていく。
 
ちょっと最高に気持ちが良いんですけど。
  
  
下りきると宿場町がひらけており、旧グリーンラインは国道115号にぶつかって終る。中ノ沢温泉の前で道を左に曲がり、日蔭山の麓を巻きながら東に進んでいく。ひっそりと静かな達沢集落を過ぎると砂利敷の林道になり、7、8分ほどで駐車場に着く。
いよいよ来たのだ、達沢不動滝へ。
   
   

写真で見てから、ぜひ一度見てみたいと思っていたのだ。いま目の前にあこがれの滝が。しかし当然のことだが当たり前のように滝は悠然と流れていた。
 

すでに7、8人のカメラマンが来ていて、滝正面は場所が空いていなかった。さらにスケッチをする人も数人いて、遠巻きに滝を見ながら、下のほうをウロチョロしながら滝を撮る。

  
しかし何て美しい滝だ…。暗く湿った谷の空気。長靴を穿いて河原に足を浸す。ごうごうと勢いよく流れ落ちる水。でも音はしない。静寂だ。時折、朝の光が滝を照らす。いま、ぼくは達沢不動滝の目の前にいて、気の向くままに写真を撮っている。神はいつこんな贅沢を我に許したのか。パシャパシャ。



 
↑こちらは女滝。達沢不動滝は男滝と女滝のふたつにわかれていて、達沢…というとふつうは男滝のほうをさす。男滝の向かって左側の崖を伝うように流れている。水量は少ないけれど凄く綺麗な水で、しかも鮮やかな緑に囲まれていた。
  
  
気づくと到着から1時間をとうに過ぎており、カメラマンの数もまばらになっていた。地元の人たちがやって来ていて、おばあさん方が滝場を掃き清めたり(不動尊などの遺構も残っている)、工事関係者の人たちが木や道を整備したりしていた。地元のシンボル的存在なのだ、この滝は。昔から敬われてきたに違いない。急に後ろめたさを感じる。我は一介の観光者に過ぎぬ。この風景を守るための種々の見えぬ努力、尽力。そういったものに我は無縁だ。我は何とも無縁である。我は一介の観光者に過ぎぬ。気に病み、すぐに忘れる。
さて、名残は惜しいが滝をあとにする。さて、次はどこへ行こうか。と問えばさて、福島の名瀑を見に。としか答えようが無いのである。目下の我は。さて。
 
 
 
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↑数日後、雑誌を買ったら丁度、滝沢不動滝での撮影レポートが載っていてタイムリー。また行きたくなってきた。ウズウズ

» Tags:, 福島,

Trackback(0) Comments(2) by 雨|2008-05-31 12:12

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