ご利用規約プライバシーポリシー運営会社お問い合わせサイトマップRSS

[わたしの歳時記] 記事数:23

< 次の記事 | 前の記事 >


【如月】春を喜び 豆をまく

このエントリーをはてなブックマークに追加


 暖かい日の散歩道でふと見上げると、あちらこちらの木の枝に小さく膨らんだつぼみの子どもみたいな冬芽が見られるようになりました。まだまだ寒い日が続きますが、もう自然の中には春を迎える準備が着々と始まっているようです。

 春、といえば暦の上では立春がそれにあたります。そして立春の前日が「節分」で、新暦では2月の3日か4日にあたります(今年は2/3が節分)。この冬から春の節に変わる日を、地方によっては「寒ばなれ」「節替わり」などとも呼んでいます。夜には「福は内、鬼は外」といいながら、鬼の嫌いな豆をまきます。豆は「魔滅(まめ)」に通じ、鬼が象徴する「病気」「災難」を防ぐと考えられ、難を遠ざける為に豆をまくようになりました。そして自分の年齢よりも豆を一つ多く食べることで、来年までの無病息災を祈ります。

 また江戸時代の後期に誕生した「巻きずし」から、その年の恵方に向かって巻き寿司を食べる「恵方巻き」の習慣が生まれています。恵方とは歳徳神の在する方位で、その年によって異なり、今年の恵方は西南西(ただしくは西微南、西南西のやや右)」にあたります。恵方巻きの作り方や食べ方に関しては諸説ありますが、恵方を敬い威儀を正す習慣に巻きずしが結びつき、「七福神にちなんで七種類の具を巻き込む」「縁を切らないため包丁を入れず、丸ごとかぶりつく」「福が逃げるので無言で食べる」などの決まりごとが後からつき、風習となったと考えられます。ただ「恵方巻き」の習慣は大阪の商人がはじめたというもので、日本全国に広まったのはごくごく最近のこと。私が小さい頃の節分ではそういう習慣はありませんでしたから。ただ、食いしん坊の私にはあのまるかじりする巻き寿司が、いつもの太巻きより美味しそうに見えるのでこれはありだなと最近の節分にはいただくようになりました。

 我が家の大家さんにここら辺の節分の様子をお話で聞いてみると、「昔は夜になると家々から『鬼は外福は内』の子どもの声が聞こえたけれど、最近はそうでもなくなったねえ、核家族化のせいかしらね」と少し寂しそうに話してくれました。確かに子どもが小さい家庭ではお父さんが鬼になって豆まきをすることもあるだろうけど、中学生、高校生にでもなると家族で豆まき、という感じでもなくなるのでしょう。

 うちはまだあんよもままならない幼い娘がいますが、せっかくなので傍らに置いて豆を握らせて、「鬼は外福は内」とやってみせようかなと思っています。そして食いしん坊のおかあちゃんは欲張りなほど具を巻き込んだ恵方巻きにかぶりついていることでしょう。


[わたしの歳時記] 記事数:23

< 次の記事 | 前の記事 >

新着情報

» わたしの歳時記
» カテゴリ



「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)