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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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「さくら」という、物々しいタイトルをつけた今回の公演、
イロイロな思いを込めた。
あのソメイヨシノのピンクは、なぜ、あんなに美しくて、悲しいのか、
日本人はずっと昔から、この花に思いを寄せているけれど
私もこの季節になると、日本人でよかったと
つくづく思うのだ。

さて、桜といえば、私の場合、鎌倉の若宮大路。
500メートルはある、桜並木を私は合計9年間
歩いて学校へ通った。
あの景観は、どこの桜にも負けない、
それは、私なりに想いがあるからだろうけど
とにかく、私は子どものころ、毎年この桜が咲くのが待ち遠しかった。

おセンチな気分に浸るのが大好きだった私は、
この桜並木の下で、桜吹雪に飲み込まれそうになるのが好きで、
この季節には毎朝、バスに乗らずに歩いていた。
通勤で足早に駅へ向かう人いたちに
「なんで、観ないの?こんなにキレイなのに!!」
と、叫びたかったのを良くおぼえている。
で、この若宮大路は、数週間もすると、毛虫のトンネルになるのだ。

もし、死ぬ前にひとつだけ、願いがかなうのだったら
日本を南から北へ向かって、花見の旅、というのをやってみたい。
これが、今一番の夢といってもいいかもしれない。

芝居「さくら」のなかで、演劇部の部長、まりがいう。
「たかが芝居じゃない。」
ときに、私はそう思う。
たかが芝居・・・
がむしゃらに芝居をやっていたときに、
見失っていたことがあまりにも多すぎる。
今でさえ、稽古場で夢中になるといろいろなことを見失う。
本当に大切にしなければならないことはなにか、
限られた時間のなかで何を優先するべきなのか、
誰か、困っている人はいないか、
そういう視点に、かなり意識して立ち返らないと
あっというまに方向を間違えてしまう。
今私は、芝居を続けて生きてゆけることが本当に幸せだけれど、
「たかが芝居」と思える場所にもいられるようにしていたい、と思うんだ。

芝居が終わったら、桜を見に行きたいな。

by 鯨エマ|2008-03-26 00:12

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