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[ゆたりストに学ぼう] 記事数:52

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「カフェの景色を作る旋律
町と町を繋げる軽やかで心地よいギターの音色」

ギタリスト
[栃木県鹿沼市]

Yutarist
小川倫生さん

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 「それではカフェでお会いしましょう」取材のお願いをしたときに、小川さんから頂いた提案で、いくつものカフェでライブをしてきた、いかにも小川さんらしい言葉でした。
 待ち合わせは鹿沼のカフェ「カナル・デ・パナマ」。リクエストに応え、ギターを抱えてやってきてくれました。

 小川倫生さんは知る人ぞ知る、鹿沼出身の栃木を拠点にして活躍するギタリスト。おそらく、カフェライブの先駆者的存在です。
 音楽に触れることがごく自然だった子供時代、ピアノを5歳から始め、やがて年頃の男の子の多くがそうであるように、ピアノではなく、ギターを持ち始めたのでした。ただ、そのきっかけがバンドに興味を持ってというのではなく、70年代のブリティッシュフォークの音楽を聴いたのがきっかけ、というのが小川さんのギターのルーツになるのかもしれません。。中学2年生の冬にお年玉をもらってすぐ、宇都宮の楽器屋さんでギターを購入し、そこからギターの日々が始まったそうです。小川さんは誰に教わるでもなく、ひたすら音楽を聴いては、コードを押さえ、独学でギターを学んでいきました。

 「その頃はとにかくギターが楽しくて楽しくて、学校から帰ってきたらすぐにギターを持ち、まさに三度の飯より…という感じで没頭していた」と語ります。
 そして本格的にもっとギターを、音楽をやっていきたいと心に決め、16歳で自主レーベル『Greenwind Records』を立ち上げます。バンドを組んで、みんなでワイワイやって、というよりも、とにかくコツコツ独りギターを弾き、宅録をするのが好きだったという小川さん。22歳の時に自主制作のカセットアルバムを発表し、その後は1stアルバム『太陽と羅針盤』を発表します。

 東京のライブハウスなどで活動はするものの、家業を継ぐということもあり、東京に居を移すことなく、鹿沼にとどまることを選んでいた小川さん。その他のアーティストとは違うやり方を選んでいたことが、その後、面白い方向に動いていきます。
 鹿沼の町づくりの発端となったカフェ「饗茶庵」のオーナーである風間さんとは同級生で、せっかく鹿沼にいるなら、うちでライブをやらないか、という話になったのが2000年。今の小川さんのスタイルである、「カフェライブ」のはじまりでした。それまではライブハウスでライブをするのが普通でしたが、カフェでライブをする、ということはその当時珍しいことでした。しかし、小川さんは「ライブハウスって暗くてちょっと怖いようなイメージもあり、あまり人も呼べなかったけど、カフェでやるのは開放的で、人も呼びやすいんですよ」と言います。そして何より、バンドミュージックやロックなどとは違う、あの心地よいギターの音色、小川さんの音楽はカフェの風景や雰囲気とすごく“相性がいい”のです。カフェというそれぞれコンセプトのある空間と、珈琲や料理のいい香り、きちんと用意されたインテリア。その中に気持ちの良い生の音楽がある。きっとそれが多くの人の心を魅了したのではないでしょうか。それからは次第に小川さんのカフェライブは定着していったのでした。
 その後はカフェに限らずお寺や銀行、酒蔵の中でもライブは行われました。「バンドではなくギター一本という身軽さもある」と小川さん。いいと思うところには積極的に出かけたいとのこと。

 饗茶庵での初めてのライブ、それから栃木や北関東にもカフェがたくさんでき、そしてそのカフェを中心にその町ごとのそれぞれの文化・コミュニティが、盛り上がってきたというここ数年。「地方の町の点であったコミュニティが少しずつ繋がってきていますね。ネットの情報やその役割もすごく重要で、遠い町や人が繋がっていける、小さな地方の町にいても情報発信ができる、いやむしろその方が情報が際立って見える」と小川さん。自分の音楽もネットで配信して違う国の人に聞いてもらうこともできるのは、それはそれで素晴らしいこと。しかし、小川さんはライブは全く別のもの、生で演奏することはいつまでも大切なことだと言います。
 これからは地方の町でも、もっと音楽活動ができる時代が来るといい、と期待しているそうです。そうすればその土地の風土が作品に何らかの影響を与え、「どこどこらしい音楽」というのがもっと細分化されても面白いのではないかと、そしてそんな音楽を聴いてみたいと、小川さんは言います。音楽などの作品を作ることは自分の生きてきた証であったり、生き方が集約されたものであったりする。そんな小川さんの音楽は、ライブハウスという限定された空間だけでなく、暮らしにより近い場所で奏でられ、そこで多くの人の心を魅了し、点であった町を紡いでいくよう。肩肘張ることなく、自分スタイルを築き上げた小川さんは、これからも様々な場所で人や町を繋ぐ音色を響かせてくれるのでしょう。(eMi.S)取材協力:カナル・デ・パナマ

ホームページ >http://ogawa-michio.com

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