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[木を植える音楽] 記事数:12

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第4話 「Humming trees」イワサキ カズヒロさん

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 「ちょっと、恥ずかしいんですけど…」
 インタビューの最中、何度もこの言葉を口にしたアコースティックギタリスト・イワサキカズヒロさん。その場にいる人を楽しませようと、気のきいたユーモアと軽快なトークで、どんな場面でも和やかな雰囲気にしてくれる彼は「木を植える音楽プロジェクト」のメンバー内でも、ムードメーカ的存在です。しかし、音楽に対する想いはとても真正直で、純粋。自身のことを話す時、声のトーンが下がり伏せ目がちになるのは、素の自分を見せるのに少々の照れがあるからと思わずにはいられません。だから、彼はギターを手にするのでしょう。言葉にできないありのままの自分の想いを、6つの弦から生まれる深い響きにかえ、たくさんの人と未来に伝えるために。

 イワサキさんがギターを始めたのは14歳の時。姉の影響もあり、楽しそうだからとなんとなく弾いてみたのがきっかけだったそうです。当時はエレキギターを演奏し、アコースティックギターは練習用として弾いていた程度。学生時代はバンド活動が中心でしたが、20代に入ってからソロとしてアコースティックギターへの道を歩むことになります。ギターを片手に、県内で開催されるイベントに参加するなどの活動をしていくなか、2treecafeと出会ったのが、ちょうど震災が起きた頃でした。
 「初めて倉本さんと会った時から、今も変わらずいつも親切にしてくれるんですよ。今回のプロジェクトも倉本さんがいるなら、大丈夫だなって思えたんです」
 震災後、被災地のチャリティーライブに声を掛けられ、出演したこともあったイワサキさん。開催地である仙台に向かった際に、目の前に広がる「風景」に茫然としたといいます。
 「あの風景は今でも鮮明に覚えています。だからこそ、自分に何かできることはしていきたいってずっと考えていて…それが音楽でした」

 『木を植える音楽』に提供する楽曲づくりは、実に難航したそうですが、倉本さんをはじめとするメンバーとやりとりのなかで方向性が見えていき、そうして誕生したのがイワサキさんにとって渾身の1曲となる「Humming trees」。
 やわらかな風に揺られる木々のさざめきのように、奏でられるギターの音色。それはまるで、生い茂る木々の囁きともいえる静かな歌声。淡く儚く、そして心にゆっくりと沁みゆく、やさしさをもった曲となりました。
 「今はまだ小さいですけど10年、20年後に大きく育っていった防風林が、海風に揺れて歌っているようなイメージを表現しました。震災を知らない子どもたちも、その木々の下で笑ってくれる日がいつか必ずくるように、って」
 様々な支援活動が点在するなかで、1人のギタリストとして、自分だからできることを選択したイワサキさんは「木を植える音楽」についてこう話します。
 「このプロジェクトが即時性ではなく、持続性があるということが素晴らしいですよね。CDを聴く人にとっては音楽を楽しむ時間となり、その売上げによって木が植えられ育てられていく…まさに、未来につながる活動だから。自分自身の成長にもなったし、やってよかったって心から確信できる1枚になりました」

 キャラバンとしての活動も初めての体験で、他のアーティストとのセッションや遠方でのライブ演奏など、ひとつひとつが大変だけど楽しかったと笑みを浮かべたイワサキさん。今、改めてこのプロジェクトを振り返ってみると、自分だけではないたくさんの「人の想い」を強く実感できたそうです。
 第1回の植林ツアーにも参加し、メンバーと共に実際に自分の手でクロマツの苗木を植えたイワサキさんの心には、もうすでに聴こえていたのでしょう。
 大きく育ったクロマツたちのさざめき、そして子どもたちのきらきらとした笑い声が。(m.m)



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