ご利用規約プライバシーポリシー運営会社お問い合わせサイトマップRSS

[ゆたりやの亭主] 記事数:256

< 次の記事 | 前の記事 >

秘密基地

このエントリーをはてなブックマークに追加

     基地遊びに目覚めたのは、小学校2年生の時。
     ある日、僕が住んでいた社宅の板塀を
     金網フェンスにリニューアルする工事がおこなわれた。

     置き去りにされた、古い焦げ茶色の板塀を使って
     たったひとりで、裏庭に屋根付きの基地をつくった。
     小さな小屋だったが、雨の日も快適に遊ぶことができる。
     それが僕の基地づくりの始まりだった。

     それからというもの多くの傑作をつくり続けることになる。



ブログランキングに参加してます。↑↑↑ポチッと!クリックお願いします。




     ある時は、酒屋の隣にある空き地に
     山積みされてあった木箱(一升瓶が何本か入る箱)。
     10段以上に積み上げられたこの木箱を
     下段から少しずつ抜いていくことで、
     壮大な迷路と秘密の部屋を完備した
     ピラミットのような基地を完成させた。

     後で、酒屋の店主に大目玉をくらい大騒ぎになった。
     もしも、あの箱が崩れていたら、命にかかわる事件に
     なっていたかもしれないのだから、子供のやることは恐ろしい。
     でも、自分の中では、かなり計算していたつもりだったのだが・・・。

     茨城に転校してからは、
     仙台時代の基地づくりの教訓を生かし、
     大人には気づかれないよう、秘密裏に行われた。
     野山を駆けまわって遊んでいた僕たち子供にとって
     森は絶好の隠れ家で、様々な地形を生かした
     秘密基地が作られた。

     ミッション:01

     住んでいる土地は高台だったため、
     あちこちに小さな崖の多い地形だったこともあり
     僕たちは洞窟を掘ることを決意する。

     とにかく極秘任務なので
     みんなで秘密保持のルールをつくる・・・。
     これは更なる仲間意識と連帯感を促すものとなる。
     僕たちには労力と時間がたくさんあったので、
     毎日、5〜8人で少しずつ掘り進んだ。
     しかし、子供の力ではそんなに簡単にはいかない。
     しかも、子供の好奇心は日々変化する。
     蛇と格闘したり、カエルを捕獲したり、火を焚いたり・・・。
     洞窟を掘りながら別の遊びに夢中になってしまう。
     作業効率は悪く工事は難航した。
     数週間後、子供が3人ほど入れる洞穴にはなったが、
     堅い岩盤に遮られ、このミッションは失敗に終わった。



     ミッション:02

     僕たちの遊びの醍醐味は、大人の目の届かないところで
     自由に遊べる空間を建設することだった。
     大人は森には入らないことを僕たちは知っていた。
     森は多くの感動の世界だってことを僕たちは知っていた。
     野うさぎやキジの親子連れに遭遇することもある。
     野いちごを摘んだり、ターザンのできる木があったり、
     美味しい湧き水があったり、
     僕たちは森からいろいろなことを学ぶことができた。

     僕たちの次のミッションは森にある一番大きな木の上に
     秘密基地をつくることだった。

     以前、一人でこの檜の大木に登ったことがある。
     太い枝に座ると、森の上から景色が一望できる。
     若葉が揺れサワサワと音をたて、風も気持ちがいい・・・。
     ここに平らな床があったらどんなにいいだろう。
     皆で座ってこの景色を共有できたらいいのに・・・。

     そう考えた僕は、枝と枝の間に板を張って、
     上の枝に布を張ればちょっとした屋根の代わりになると
     童話に描かれていた木上の家を想像しはじめていた。

     誰かが縄を持って来た。
     誰かが角材や板材を集めて来た。
     縄にしばって上へあげる。
     誰かが釘や金槌、鋸などを調達しに家に戻るという・・・。
     「ちょっと待て!見つからないように気をつけて。」

     しかし、20分程で戻った友達は、母親と一緒だった。

     僕たちのミッションはまたしても失敗に終わったのだった。

     その後も懲りずに基地づくりは行われた。
     そして、小学生最後の秘密基地は、実に思いで深いものになる。



     ミッション03

     いつもザリガニを獲って遊んでいた用水路(幅3m)があった。
     その水路の向こう岸は、秘密の森を通らないと行くことはできない。
     3mの水路は大人でもわたることはできなかったのだ。
     僕たちは秘密の森を抜け、向こう岸をめざした。
     そこには、基地作りに絶好の空間があったのだ。

     早速、僕たちは使えそうな廃材やガラクタを集めて
     柱と屋根を組むことにした。
     今までの経験から、かなり頑丈な骨組みができた。
     次に壁をつくり、扉と窓も完備した。
     過去に経験したことのない立派な全天候の小屋が完成した。

     この偉業を成し遂げた僕たち4人は、
     その屋根に「Friend Ship 4」の文字をペイントすることにした。
     小学校6年生の4人は、自分達の国を建国したような満足感と
     とても深い友情の絆を感じていた。

     雨の日も雪の日も、僕たちの「Friend Ship 4」は、
     絶好の隠れ家で、秘密の集合場所。
     いろいろな遊び道具を持ち込み、楽しい遊び空間となった。

     ・・・いつしか、遊ばなくなった僕たちは
     それぞれの道へ進むことになる。
     小学生卒業とともに子供達はスーッと消えていなくなった。

     この歳になって思う・・・。
     秘密基地建設というミッションには多少の危険は伴ったが、
     子供たちの冒険心、創造力、独立心、友情、協調、約束、など
     いろいろなことを学び、感じさせてくれたのだと思う。
     自分の世界を創造したいと思うことは素直な欲求なのだ。
     想像し、計算し、計画し、実行し、失敗することが
     どんなに素晴らしいことなのかを教えてくれたのだと思う。

     子供達よ森へ行け。
     森には危険もたくさんある。
     しかし、子供に必要な想像力を
     育んでくれるいろいろなものが隠れている・・・。




ご覧いただいたついでにこちらも↑↑↑ポチッと!ありがとうございます。

» Tags:秘密基地, 子供, 小学生,

Trackback(0) Comments(6) by Yasumine|2008-10-15 09:09

[ゆたりやの亭主] 記事数:256

< 次の記事 | 前の記事 >

» 最近の記事
» カテゴリ
» 以前の記事
» 最近のコメント


ゆたりブログ



「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)