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[一期一会のある暮らし] 記事数:9

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上野・うさぎやのどらやき

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 誰にでも思い出深いものがあります。
 それは、季節であったり、風景であったり、モノであったり…。「味」も記憶に残るものがあり「これを食べると思い出す」。そんな食べ物があると思います。

 小さい頃、叔父とよく秋葉原から上野まで歩きました。秋葉原、御徒町、上野…。駅ごとに変わる街々の景色は、小さな私にはまるでおもちゃ箱のようでした。
その散歩のゴール地点、上野で買ってもらったおやつが「うさぎやのどらやき」でした。

 上野・うさぎやは、上野の松坂屋の前にあります。ふんわり柔らかな生地と、どらやきにしては、豆の味が引き立つ甘さ控えめのあんこ。運がよければ、温かな出来たてを食べることもできます。
 うさぎや、とてもかわいい店名ですが、創業者が卯年だったことからこの名前になったそうです。和菓子屋としてのはじまりは、大正2年の開店。創業当初、菓子折の一つひとつに入れていた 「うさぎやは素人の菓子屋也」と始まる口上には、「素人だからこそ、材料は最上のものを選ぶ」という意味が込められていたそうです。

 叔父は田端の下町で育った人でしたが、小さな私にも歴史の中で培われた東京の美味しいものをたくさん食べさせてくれました。味にも歴史があり、職人の手業がある。そのことに気付かせてくれて、自分が大人になり、改めて訪れる楽しみを作ってくれたことに感謝をしています。
 大人にとっては大きからず、小さからずのどらやき。小さな私の手には大きくて、とても美味しかった、思い出の味です。遠い記憶の中に潜在するものでした。
 歩き疲れたから美味しかったのか?そう思いながら大人になって食べましたが、やっぱりなじみの味は、変わらず美味しいものです。

 記憶の中に残る味…。
 みなさんにもそんな味がありますか?
どうぞ、うさぎやもその記憶のうちの一つにしてみてください。


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