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[ゆたりやの亭主] 記事数:256

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僕の妹

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     ゆたりブロガーのマリサさんの記事を読んでいたら
     自分の子供時代を思い出してしまった。
     ・・・僕も「超おにいちゃん気質」。

     この歳になって「おにいちゃん」というのも
     なんだか照れくさいものだが、
     いまだに母親からは「おにいちゃん」と
     呼ばれている・・・。

     僕が「おにいちゃん」になったのは
     仙台に住んでいた5歳の時だった・・・。

     それまでは、独りっ子だったこともあり
     『どうして家には兄弟がいないの?』
     『兄弟が欲しい・・・』と母親におねだりしていた。

     物心ついた時にすでに兄弟がいた方には
     理解できないかもしれないが、
     他所の家の兄弟が楽しそうに遊んでいるのを見ると
     独りっ子であることがとても損しているように感じることがあった。



     そんなある日、母親から
     『やっちゃんもおにいちゃんになるのよ』
     と、聞かされた。
     『お兄ちゃん・・・?』

     それはそれは、嬉しいニュースであった。
     僕の家にも弟か妹がやって来るのだ!
     その当時、産まれて来る兄弟を
     誰よりも楽しみに待っていたのは
     他でもない僕自身だったと思う。

     だから、母親のツワリの世話は僕の役目だった。
     気持ちが悪いと言えば風呂場に走り、
     洗面器に水をいれて母の元へ。
     そして、背中を一所懸命に摩ってあげた。
     買い物も僕が代わりに行ってあげることが多かった。

     お産間近のある日。
     僕は荻窪の親戚の家へしばらくあずけられることになった。
     はじめて親元を離れ、ひとり親戚の家で暮らすということは
     5歳の子供にとっては淋しいものだった。
     しかし、これも「おにいちゃん」になるための試練と思い耐えた。
     ・・・その年、東京はオリンピックで賑やかだった。
     確か青梅街道でマラソンのアベベ選手が首を振りながら走るのを
     観戦した記憶が残っている・・・。

     数週間が過ぎたある日、父が迎えに来た。
     妹が・・・産まれたのだ!
     父とどのようにして仙台へ帰ったかは全く憶えていないが
     帰り際に父が言った言葉が印象的だった。

     『ヤッチ。ママに産んでくれてありがとうと言うんだよ』

     その言葉は、数少ない父の言葉のなかで一番好きな言葉として
     今も心に残っている・・・。



     家に着いた時、母の側には祖母が居て
     産後のお世話をしてくれていた。

     初めて目にした小ちゃな僕の妹・・・。
     僕は、大切な宝物を与えられた気持ちで一杯になった。
     どんなに時が経っても鮮明に憶えている。
     あの小ちゃな手で僕の手を握る赤ちゃんだった妹・・・。

     『産んでくれてありがとうございました』
     ・・・僕は,父との約束を守った。

     本当に本当に嬉しかった。
     来る日も来る日も小さな妹を見守った。

     それまでは「やっちゃん」とか「ヤッチ」と呼ばれていた僕が
     初めて「おにいちゃん」という言葉を実感する時が来るのだ。

     その頃から母親は『おにいちゃんになるんだから!』と言う・・・。
     そして、いつの間にか「おにいちゃん」と呼ばれるようになった。
     実際、おにいちゃんであることの自覚が目覚めるまでに
     それほど時間はかからなかったと思う。

     「おにいちゃん」は我慢しなければならないことが多く
     「おにいちゃん」は遊んであげたり、面倒をみることが多く
     「おにいちゃん」は犠牲になったり、責任をもったりすることが多く
     「おにいちゃん」は妹を守るために手をつないたり、おんぶしたり
     「おにいちゃん」は何かと大変なのだ・・・。

     妹が成長し一緒に外で遊ぶようになると
     何処へ行くにも連れて歩いた。
     僕の妹は大切な宝物で僕の自慢の妹だった・・・。

     喘息で苦しむ妹の姿を見守りながら
     二段ベッドの上で眠れぬ夜を過ごした幼い日々。
     妹に海を見せたくて、自転車に乗せて10kmも離れた海岸へ行き
     波に足をとられずぶ濡れになって泣いている妹をなだめながら
     不安と責任を乗せて家路を急いだ二人だけの秘密の一日。
     小鳥を飼っていた妹に「鳥さんの歌」を作曲し
     二人で大笑いして歌ったあの頃。
     ・・・しかしそんな思い出も妹は殆ど憶えていないらしい。



     僕の大切な妹が嫁ぐ日。
     初めて旦那の顔を見た・・・。
     それまで会う機会がなかったのだ。
     この男か・・・と思った瞬間
     『結婚反対!』と言いたくなったが
     ・・・笑って堪えた。
     やがて子供も2人授かり幸福に暮らしている・・・。

     いまでも妹は僕を『おにいちゃん!』と呼ぶ・・・。

     「おにいちゃん」は我慢しなければならないことが多く
     「おにいちゃん」は犠牲になったり、責任をもったりすることが多く
     「おにいちゃん」は何かと大変なのだ・・・。

     現在は「おにいちゃん」として
     何かしてあげられることは殆どないけど、
     僕は妹にとって世界でたった一人しかいない
     『おにいちゃん』であることに変わりはない。
     そして、僕の妹はこれからも大切な「いもうと」なのだ。

     長々と読んでいただきありがとうございました。



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» Tags:, おにいちゃん, 兄弟, 兄妹, 思い出,

Trackback(0) Comments(18) by Yasumine|2009-06-16 22:10

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