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奥久慈の山間部から生まれた日本一の米

農業組合法人コメッコ
茨城県久慈郡大子町小生瀬1238
谷田部好三さん

 静岡県が主催する全国規模の米の品評会「お米日本一コンテスト」(米コン)で2006年に日本一に輝き、例年上位に名を連ねる米「奥久慈米コシヒカリ」を提供している農事組合法人コメッコ。袋田の滝の上流に当たる大子町の生瀬地区で作られた山の米が、どうして全国の米屋さんの舌をうならせたのか。

 

自然の温度差がうまい米の秘密

— 最初に法人化した経緯などをお聞かせください

谷田部 平成8年に法人になりました。稲刈りや乾燥調整などの労力は大変なもので、農家のお手伝いということで、農地の基盤整備が終わってから農作業の受託をするようになりました。生産法人にしたら、転作が大変で自分たちの首を絞めかねない。だから農事組合法人という形をとりました。

— 大子町の稲作の特徴はどのようなものなのですか

谷田部 寒暖の差があって水がきれいなところは、おのずとおいしい米ができます。でもそれだけではなく山間部ならではの特徴ある米作りがあるのです。同じ茨城でも稲敷のように早場米を作るのもいいでしょうし、土浦周辺のように量を取るのもいいでしょう。そことは逆にここは、どうせ米をやるなら遅くてもおいしい米、だったのです。

— 山間部の自然を生かしたのですね

谷田部 8月のお盆過ぎに稲が登熟するように、田植えをします。この辺では8月15日ごろになると朝方冷え込んで15度くらいの温度差が生まれます。登熟期に寒暖の差を感じてもらうと、米は夜眠り、デンプンを蓄えるんです。

— 出荷先は東京が多いのですか

谷田部 高い米は地元では買ってくれません。都内のこだわった米屋さんが多いですね。「一俵で何で1万円も高いのか」と言われます。消費者が食味にこだわるようになったのはここ15年ほどですが、これを欲しがっている人がいるのも事実。

— 米の販売は年間予約で決まるのですか

谷田部 10月には決まります。でも「昨年と同じもの」、「あそこで食べたのと同じもの」―と、指定されるのが一番困ります。この辺はおいしい米が作れる一方、日本有数の岩の多いところでもあり、日本一の米もあったり、中以下の米があったりします。道を挟んで右と左の違いだけで土質が変わるという欠点もあるのです。田んぼ一枚ごとに味も違ってきます。

— 奥久慈米コシヒカリはこれからも日本一の座を目指すのですね

谷田部 5年前、米コンに出たときは、自分たちがどのレベルにいるのか知りたかった。常に上位に入り、基本的においしいことが分かりました。昔はわら、籾殻、ヌカなどは田んぼに返しなさいと言われていましたが、今は土が死んでいます。極力農薬を押さえて、カメムシに食われようが、微生物に土を耕してもらい、自然の力を借りながらやっていく。自分が責任を持って食べてもらえる米を作っていきたいですね。

[取材EYE]

 「自分が米作りを初めても、たった40回やっただけ」という谷田部さん。人間の一生のなかで稲作をできる回数は限られるが、それを補うのは先人たちが蓄えた知恵と技術だ。山間部の稲作として、理にかなった方法で連綿と米作りを続けていることが、奥久慈米日本一の要因となっているようだ。

e-mail kome.21@seres.ocn.ne.jp


田起こし前の田んぼは、限りなく自然に近い状態。微生物など自然の力と先人の知恵とが稲作に生かされ、おいしい米を産む


神に祈りと感謝を捧げる神棚。代々伝わる信仰の深さが、山村の暮らしの豊かさを浮かび上がらせる

天候に左右されがちな農業で、日本一のお墨付きをもらったとはいえ、常に上位のランクを維持し続ける努力は大変なもの。しかし、その表情には自信が垣間見える



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